安定ヨウ素剤って何?

安定ヨウ素剤って何?

安定ヨウ素剤とは

ヨウ素は、昆布、わかめ、海苔、青魚などに多く含まれます。甲状腺は、甲状腺ホルモンをつくる材料にするため、ヨウ素(ヨード)を取り込みます。原発事故で放出された放射性ヨウ素を人が吸引・摂取すると、放射性ヨウ素が甲状腺に集まって甲状腺がんの原因になります。安定ヨウ素剤の「安定」とは放射性でないという意味です。安定ヨウ素剤はヨウ素をカリウムやナトリウムに結合させて錠剤にしたもので、これを服用したとき甲状腺に先回りして甲状腺をヨウ素で満たし、放射性ヨウ素が甲状腺に入り込むのをブロックするものです。

放射性ヨウ素の服用タイミングとその効果

  • 摂取24時間前から摂取直後に服用・・・90%抑制
  • 摂取後8時間に服用・・・40%抑制
  • 摂取後24時間に服用・・・7%抑制
服用量
  • 13歳以上・・・2丸100mg
  • 3-13歳未満・・・1丸50mg
  • 1月-3歳未満・・・32mg(内服ゼリー)
  • 新生児・・・16mg(内服ゼリー)
副作用

嘔吐、皮膚の発疹、胃痛、下痢、頭痛

その他注意
  • 服用は原則1回
  • 3年で有効期限切れ
安定ヨウ素剤(ヨウ化カリウム)
ネットでも売られている(ヨウ化カリウム)

原発から5kmの住民にはあらかじめ配布されます。30kmの住民には自治体判断であらかじめ配布されます。

国の指示により服用します。国や県や市町村の指示がわからない(連絡が来ない)ときは自分で判断するしかないです。

原発事故の放射性物質はいつ飛んでくるかわかりません。3分後に来るのか、3日後に来るのか、あるいはすでに来ているのか、何回くるのか、わからない状況がありえます。311のときもそうでした。そのため、1回しか服用できないとすると、その貴重な1回をいつにするか決められなくなります。線量計が近くにあれば、放射線量が上がったときに飲めばよいのですが、そうでないとき、飲むタイミングが決められなくなります。

もしあなたが避難所で避難者の面倒を見る保健師で、放射能汚染の懸念があり、線量計が身近にないとき、いつ安定ヨウ素剤の服用を指示しますか。「副作用の可能性がある」、「原則1回しか飲むべきでない」、しかし放射性物質はいつ流れてくるかわからないし、それを探知する機器もない。こんな状況では「服用指示」のカードは切れません。それが311でした(後述の三春町は例外)。次に同じような事故がおきたら、事故が深刻な状況で風が原発から自分のいる方向へ流れたときには、腹をくくって自分の責任で服用指示するしかないのでしょう。さらに汚染が24時間以上続く場合や、次の日も汚染が来そうな場合は、1回限りルールを自分の責任で破って、1日1回服用を数日程度繰り返すしかないと考えます。

上述のとおり、嘔吐、下痢などの副作用の懸念はあります。でも、それを心配したら、だれが「服用指示」を出せるのでしょうね。

有効期限は3年ですが、製造後10年でも90%以上有効と考えられています。

放出されることはほぼありません。放射性ヨウ素はウラン235が核分裂した後にできる片割れです。その多くは半減期8日のヨウ素131なので既に第一・第二原発の中には残っていません。

311のとき安定ヨウ素剤の服用はどうなったか?

311のとき、福島県はその服用を指示しませんでした。国は服用を助言したとの証言がありますが、はっきりしていません。市町村では三春町などが独自判断で服用を指示しました。

原子力安全委員会の助言

安全委員会が下のとおり手書きで、スクリーニングにより10,000cpmを基準として除染と安定ヨウ素剤服用を指示したとされます。しかし、この通知は実際には現場に伝わりませんでした。伝わったとしても、スクリーニングで汚染を確認された人への事後的な服用であり、予防的な服用指示ではありませんでした。

福島県の指示

県は独自に判断して服用指示する権限はありましたが、国の指示待ちで、服用を指示することはありませんでっした。

市町村の指示

三春町は、県からヨウ素剤を入手し、15日に風が原発方向から吹き始めたのを考慮して町の判断で15日の午後に服用を指示しました。三春町が汚染されたのは15日の午後でしたので、この判断は結果的に完璧なタイミングでした。なお、指示された町民の4割は服用しませんでした。

国や県はなぜ服用指示を出さなかったか

次のような理由があったと考えられます

  • 副作用を懸念した
  • 全県民分の錠剤がなく、また、全県民へ届ける方法がなかった(不公平な扱いを懸念した)
  • 原則1回に限り汚染前24時間以内に服用すべきとされているところ、汚染が来るタイミングがわからなかったので指示の機会を逸した

誰が責任を取るの?

服用指示を国まかせにしたら「危険を察知したら服用せよ、ただし副作用には注意せよ」なんて指示がくるかもしれません。原発近くにお住まいの方は、普段から、自治体や個々人のレベルで自分たちの責任で判断する用意をしておく必要があるのではないでしょうか。

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