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体表面汚染のスクリーニング

原発事故対応でスクリーニングは極めて重要

311で「スクリーニング」といえば、避難者の中から体表面汚染の強い人をふるい分けし、汚染のない人には証明書を発行し、汚染されている人は洗浄や着替えをさせることでした。screenは網やふるいを指し、screeningはふるい分けを意味します。

311でスクリーニングは極めて重要でした。スクリーニングがないと、原発近くから避難してきた人が避難所、親戚の家、病院、福祉施設、食堂などで受け入れを断られたからです。原発事故対応で原発近くに行った人も、自宅や職場に戻っていいかどうか、判断できませんでした。

スクリーニング機材の少なさが悲劇につながる

体表面汚染を測る機材はGM管と呼ばれます。事故当初、この機材を備えるスクリーニング場は二本松市の男女共生センターと南相馬市の相双保健所だけでした。除染施設は男女共生センター前の自衛隊テントだけでした。これが次の悲劇につながりました。

  • 避難者の汚染への懸念から、多くの病院、学校、体育館などの施設が避難者の受け入れを拒否または躊躇した
  • 大熊町の病院から避難した寝たきり患者が南相馬市のスクリーニング場経由で避難しなければならず、かつ、その後の受け入れ先も見つからず、結局いわき市の県立高校まで150km以上のバス避難を強いられ、多数の死につながった
バスの中でのスクリーニング
相双保健所前にて

寒空に洗浄所なし、水なし、温水なし、着替えなし

福島市では震災後1週間水道が止まりました。二本松市の自衛隊洗浄所でも十分な温水や着替えがなく、着の身着のままで10万人以上が避難してくる中でのスクリーニングは困難を極めました。

二本松の除染所では夜間は氷点下
衣類を袋に詰める隊員
二本松男女共生センター
男女共生センターでのスクリーニング

医師らは除染基準を13,000cpmから100,000cpmに引き上げた

3月13日、医師らは洗浄・着替えなどさせる除染基準を独自の判断で(国に判断を仰ぐことなく)引き上げ、14日から実施しました。除染する人が多くなれば避難が遅れ、または低体温症のおそれがあり、結果的に避難者の健康が害されると判断したからです。(服を脱がして洗浄しても、多数の人に着せる服がないことも判断理由のひとつだったのではないかと思います)

13日夜の打ち合わせ
除染基準を10万cpmに

国は除染基準引き上げに反対

国の原子力安全委員会は除染基準を引き上げないよう「助言」しました。しかし、6日後(19日)には基準引き上げを追認しました。

スクリーニングを拡大

当初2箇所しかなかったスクリーニングは次第に拡大されました。最終的に100,000cpmを超えた人が約100人、13,000cpmを超えた人が約1000人発見されました。

現在は8箇所のスクリーニング場

2019年時点で、今も原発周辺8箇所にスクリーニング場があります。帰還困難区域に入った人はそこを出た後にここで汚染チェックを受けなければなりません。2019年の時点で、200cpmを超える人はほとんどなく、9割以上はスクリーニング会場のバックグラウンドの放射線量(120-160cpm程度)以下しか観測されません。